SketchBook:3

知らないおっさん×殿のウリ描写があります
苦手な方はここでウィンドを閉じて回避してください
 

 

 

 

 

 

 

 

 アパートを出ようとしたところでメールが入った。
 左近が昨日の事を心配して送って来たのかと一瞬うれしくなったが、そういえばあいつはまだ俺のアドレスを知らない。
 きっと知りたがっているだろうから早く教えてやらねば。
 メールは奴らからで、画像が添付されている。
 開いてみるとそこには、仰向けに伸びたカエルみたいなみっともない格好で組敷かれている俺が写っていた。
 あの時、撮られたものだ。
 誰のだか分からないものを銜え込んだあそこも、べとべとに濡れて勃起しているペニスも、そこから飛び散った体液も、ご丁寧にワイドサイズの画面には顔までしっかり写っている。
 泣き出しそうな、笑っているような、口の端から涎を垂らして、俺ってアレのときこんな酷い顔してるのか。
 さてどうしたものかと思っているとすぐに2通目が届いた。
 “ぼくらのかわいいみつなりちゃんへv”と題されたそのメールは、学校中にこんな画像をばらまかれたくなければ今から言われた場所に来いと、ふざけた絵文字満載で伝えている。
 実際にそんなことをすれば警察沙汰になって自分たちだって無傷でいられないのに、バカな奴らだ。
 授業の始まる時間が近付いていたし、そんなつまらない奴らは放っておこうと思ったが、ふと左近の事が頭をよぎる。
 あのことは左近も知っているんだ。
 写真が左近の目に触れるようなことにでもなったら、優しい左近はあの時俺を助けられなかったことを後悔するだろう。
 そしたら左近は俺に負い目を感じてしまうだろう。
 それはちょっと困る。
 俺は左近とは対等な関係でいたいのだ。
 左近を待たせるのは心苦しいが、さっさと用事を済ませてしまって、それから学校に行こう。
 嫌いなものは先に食べた方が食事は楽しくなるというものだ。

 

 

 

 指定されたカラオケボックスは駅の裏のさびれかけた歓楽街にあった。
 店の前に着いた頃にまたメールが入り、もう部屋で待っているから上がって来いという。
 狭い廊下にずらりと並ぶ同じようなドアの中から指示された部屋番号を探し出す。
 煙草臭くて薄暗い部屋の中には清正と正則と、スーツを着た見知らぬ男の3人がいた。
 今日は他に学校の奴らはいないらしい。
 清正と正則はスーツを両隣から挟み込むようにして頭を寄せ合って何か話していたが、俺が入って来たのに気付くとこちらを見てまたあの下品な笑みを浮かべた。
 そしてスーツの耳元に何事かを囁く。
 スーツは俺を上から下まで舐め回すように見ながら頷いている。

 
『三成、このおっさんがお前と話したいんだって。
 二人でその辺の、そうだな、どっか落ち着けるところにでも行ってこいよ、な、俺らここで待ってるからさ。』

 
 突っ立ったまま、怪訝な顔をしていると清正が俺の後ろにまわり、馴れ馴れしく肩に手を置いて気味の悪い猫なで声を出す。

 
『大丈夫だって!このおっさん、俺らのトモダチ。
 お前も俺らのトモダチ。
 トモダチのトモダチはトモダチ、そうだろ?』

 
 わけのわからない理論だ。だいたいが俺はお前たちのトモダチじゃない。
 言い捨てて帰ろうとしたら正則に襟首を掴まれてソファの上に引き倒された。

『仕方ねぇな、ここでやっちまえよ、おっさん。
 ホテル代浮いた分は俺たちにはずんでくれよな。
 大丈夫だって、監視カメラなんてついてねーよ。声だって、ほら。』

 
 清正が部屋にかかっていた有線のボリュームを最大限に上げると、所在無さげにしていたスーツが途端に伸しかかってきた。
 見たところもやしのようにひょろひょろとして青白い顔の、いかにもひ弱そうな男だったが上から全体重をかけられるはね除けるのは難しい。
 それでもがむしゃらに手足をばたつかせて抵抗を続けていたら、正則に頬を思い切り張り飛ばされた。
 粘膜を切ったのか口の中に広がる鉄さびの匂いに、この前の暴力の記憶が蘇って身体が竦む。
 またあんなふうにされたら、しばらくは学校どころか人前にも出れない。
 スーツは俺が大人しくなったものだから調子に乗って体中を舐め回し始めた。
 ぬめぬめとした舌がナメクジのように思えて怖気立つ。
 悪寒に小刻みに身体を震わせたのをスーツは俺が感じていると思ったのかますます熱心に、舌を這わせ始めた。
 断続的に襲ってくる吐き気、そうして目の眩むような頭痛と戦っている間にスーツは中に2回、顔に1回、腐った魚のような匂いのザーメンを排泄した。
 終わった後、スーツは奴らに一万円札を何枚か渡しながらまたよろしく頼むよ、と言ってそそくさと消えてしまった。
 清正がその中から1枚引抜いて俺に向かって放る。
 

『ほら、お前の分。
 初めてのお仕事のお祝いだ。
 ついでにそれでここの代金払っといてくれよ。
“またよろしく頼むよ”みつなりちゃん。』

 
 げらげらとバカ笑いをしながら奴らは出て行った。
 一人きりになった部屋で、一時間ほどうとうとして、テーブルの上に置きっぱなしになっていたおしぼりで身体を拭いてから店を出た。
 トイレの鏡で念入りにチェックしたから見た目はいつもと変わらないはずだけれど、体の内側も外側も、あの男の出したザーメンが染み付いてひどく生臭いような気がする。
 時計を見るともう昼過ぎだった。
 午前中の実技は欠席だ。
 これから急いでアパートに戻って、シャワーを浴びて、それからでも午後の講義に間に合うだろうか。