ねえ、貴方には彼が幾つくらいにみえる?

  

 
20?そうね、それくらいに見えるわね。
彼はね、全然変わらないのよ。
私が初めて出逢ったときから、いいえ初陣の時から少しも変わっていないという人もいるわ。
 

ねえ貴方、“ダチュラ”って聞いた事ある?
私も仕組みはよく変わらないのだけれど、その真っ白な花の茎から滲み出る液体には細胞の代謝を抑制する力があるのですって。
それを身体の中にいれたときから、彼は年を取らなくなってしまった。
永遠に、彼は若いまま。
人は年を経て経験をつむ。
確かに年を取れば体力は失われるけど、得た経験によってそれを補う術を覚える。
彼が鬼と呼ばれるほどに強いのはね、常に最盛期の肉体を数知れぬ経験で支えているからよ。
 
 

 

けれど不老不死なんて都合の良いものはこの世に無い。

時の流れに逆らうような者を天はお許しにはならないでしょう。
彼の身体はもう自らの形を保てなくなってきている。
そういう人を何人か見たわ。
最期はみんなどろどろに溶けた臓物を体中の穴と言う穴とからまき散らしながら死んでいくわ。
彼も、遠くない未来に、きっと。

 

それでも私たちは選んだの。
決められた命を生きるより、たとえ短くとも激しく輝いていたいって。
だって、そうでもしないとあの人の眼は私たちを映しては呉れないでしょうから。

 

 

ねえ、貴方には私が幾つくらいにみえている?
 
 




  

  

 
   

     


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