「殿を左近だけのものにしておきたいと言ったら、殿は叶えてくださいますか?」

 

 

 何を馬鹿な事を、と思う。
 彼の望むものかかもを明け渡して来たつもりだった。
 禄だって十分すぎるほどのものを与えているし、筆頭家老として自分も周りの者も一目置いて接している。
 男に抱かれる事に抵抗が無かった訳ではないが、彼がそうしたいのなら、とこうして身体だって差し出した。
 なのに、これ以上、何を。
 

「ご自分ばかり楽しんでおらずに、左近のものも高めてくださいませ。」

 左近は玩具を弄る手を止め、三成の前に周ってその口元に自分のものを突きつけた。
 未練がましく自らの性器を弄っていた三成の手は剥がされ、左近の性器に触れさせられる。それは半ば熱を持ち、立ち上がりかけていたが、それでも性交にも十分とはいえない。
 むっ、と立ちこめる雄の匂いに三成は引きつけられるように舌を差し出した。
 

「そう、最初は舌を使って、ね。」 
 

 子犬が水を飲むときのような仕草でぴちゃぴちゃと水音を立てる三成の頭を左近はゆっくりと撫でてやった。気位の高い主人を手なづけるにはこうして厳しさと優しさを交互にみせてやるのが一番の早道なのだ。
 

「では、殿、銜えてください。」
 

 もはや左近の言葉通りに動く操り人形と成り果てた三成は大きく口を開け、左近のものを銜えようと試みる。三成の奉仕のせいで大きさを増し、硬く芯の通ったものは精一杯喉を広げても全部は含みきれない。
 左近のものを傷つけないように、機嫌を損ねないように。
 歯が当たらないよう唇を内側に折り曲げ、口の中いっぱいに詰め込まれた肉塊の間を縫うように舌を蠢かすと左近の腰がびくり、と揺れた。
 

「ぁっ..殿..お上手です。」
 

 たまらぬ、とばかりに左近は三成の頭を両手で掴み、自分の腰の動きに合わせて揺すった。
 

「んぐぅっ..!」
 

 自分の快楽を追う事に気を取られている左近は三成の息苦しさ等おかまいなしで動きを激しくする。どうにか息を次ごうと三成がもがけばもがくほど、左近には溜まらぬ刺激となった。
 これ以上は保たない...。
 霞んでいく意識の中で三成が思ったとき、ふいに左近は口から男根を引き抜いた。
 

「ふぁっ..はぁ..」
 

 待ちこがれた酸素に三成は大きく息を吸う。
 

「さ..こんっ..馬鹿めっ。死ぬところだったぞ!」
 

 忌々しげにこの無礼な家臣を睨みつけてやるが、本人は全く気にしていない様子でからからと笑って言う。
 

「 それは大変でしたな。
 では、殿、ご褒美に紐を解いて差し上げます。」
 

 左近は三成の身体を反転させ、仰向けに転がした。
 

「もっと足をお開きください。
 そう、そのまま、動かないように。
 変なところに傷をつけては面白くありませんからね。」
 

 大きく足を開いたまま、膝を胸に付くほど折り曲げられて下肢の全てを露にするこの姿勢は赤子がむつきを代えられる時のそれで。
 左近の吐息が内股の内股の柔らかな皮膚をくすぐる。それほど彼の顔が陰部に近づけられているのを感じて三成は身を焦がすような羞恥に苛まれた。
 左近はそんな三成を顧みる事も無くまだ乱れてもいない懐から懐刀を取り出した。
 

「そっ、それで切るのか!?」
 

 視界の端にキラリと光る刃を見つけて三成が怯えた声を上げる。
 

「そうですよ。このまま、というわけにはいかないでしょう。
 ですからどうぞ、じっとしていてくださいね。」
「んっ..。」
 

 緊張に身を強ばらせる三成。いささか勢いを失った性器に刃の冷たい感触が触れる。
 先走りでぬめる性器を鷲掴みにして、ぷちぷちと1本ずつ、丁寧に左近は紐を切っていった。
 

「もう良いですよ。」
 

 バラバラになった紐をのけてやりながら左近は言った。
 長い間、締め付けていたせいで三成の薄く色づいたそれは無惨にもひしゃげ、所々赤黒くまだら模様に紐の跡が付いてしまっている。
 

「ん..出ない..っ。」
 

 左近の視線があるにも関わらず、やっと射精を許される、とばかりに三成は自らの手をもって性器を擦り立てるが、絶頂は叶わない。
 

「な..んで..。」
「ああ、我慢しすぎたのでしょう。
 左近がお手伝いして差し上げます。」
 

 言葉と同時に疼く性器が生暖かい粘膜に包まれる。
 

「いやっ..さ..こぉ..んっ。」
  

 開かれたままの足の間には家臣の黒い長髪が揺れていた。
 先ほど、逆の立場から施したものとは比べ物にならぬほど巧みなそれ。
 カリの間を舌先でくすぐられた後、先端をちゅっと強く吸われ、三成はあっけなく達した。
 射精後の虚脱感にぼんやりとしていると、左近の顔が近づいてくる。そのまま口づけをされ、三成は顔をしかめた。口内に覚えのある、独特の青臭い粘液が捧ぎ込まれる。
 

「殿がお出しになってものですぞ。残さずお飲みください。」
 

 一瞬唇を離し、その味の訳を伝えると左近はさらに深く飲み込ませようと三成の口の中を自分の舌でかき回し始めた。
 

「やっ..。」
 

 首を振って拒否したが顎を強く捕まれ逃げ場を失う。蹂躙は何度かの息継ぎを挟みながら、口の中の味がすっかり消えてしまうまで続けられた。

 

 

 

 

「俺を左近だけのものにしておきたいと言ったな。」
 

 仰向けに横たわり、三成は天井を見上げたまま呟いた。
 その唇からは先ほどまでの激しすぎる口づけの名残、飲みきれなかった唾液が一筋流れたままになっている。
 それを指先で拭ってやりながら、左近はうなづいた。
 閨の上でのこととはいえ、確かに自分はこの美しい主人に対して家臣にあるまじき言葉を吐いてしまった。もしそれを無礼というのなら、いかなる罰でも左近は受けるつもりでいた。けれどそれは決して戯れに告げたものでも、主人をからかったのでもない。左近の偽らざる本心なのだから。
 どこにも出さないで、誰の目にも触れさせないで。
 自分の腕の中だけを世界の全てと信じて。
 そうしたらもう誰も彼を傷つけないのに。
 

「そんなの..無理..だ。」
 

 三成は未だ頬を撫でる左近の手を振り払って言った。
 

「...分かっております。」

 そして自らの手で、その澄んだ瞳を覆ってしまう。
 泣いているのかもしれない。声が少しうわずっているのを左近は聞き逃さなかった。

「こんな..こんなことをしなくとも..俺はお前からどこへも行けないのに。」

 泣きたいのは自分の方だ。
 最も身近に居る立場でありながら、このような方法でしか主人の心を読み解けない、未熟な自分。
 主人を苦しめるつもりなんてなかったのに。ただ、本心をほんの少し吐露しただけなのに。こんなにこの人を傷つけてしまうなんて、自分はなんて至らぬ家臣なのだろう。

「...そのような戯言をおっしゃる口はこうして塞いでしまいましょう。」


 ならばいつもの“左近”のふりをして。
 わざといやらしい言葉と仕草で。自分の傷も、主人の傷も隠してしまおう。
 最初からなかったのように、乱れて、狂い果てて、何もかも分からなくなってしまえばいい。
 左近は三成の中に入れられていたままの玩具を抜き取ると、体温で温められたそれを口にねじ込む。

「むぐぅっ!」

 突然与えられた質量に三成がえづく。

「さぁ殿、左近のものも差し上げますよ。」

 悲壮な瞳を振り切るように。目の前の主人からすら逃げ出すように。
 熟れた果実のようにすっかり融けた後孔に左近は猛る男根を突き刺した。

 

 

 

  

  

  

 

  


  

B地区弄るの忘れてたーッ!!(左近、魂の叫び)
中途半端ですが強制終了です