テーブルの上に置かれた皿の、20cm近くはあろうかという高さのハンバーガーを見て三成は目を丸くする。
「...すごい。」
駅前のファーストフード店の名を挙げて、あそこにはこんなの置いてない、と呟きながらどこから手を付けていいのか思案する様は実に真剣そのもの。
「ハンバーガーが食べたい言っただろう?」
「ああ、でも、こんなところで食べるのは初めてだから。」
午後の授業が休講になって時間ができたからとメールがきて、急に会うことになった。
まずは腹ごしらえと、三成の希望に従って吉継が連れて来たのは大通りに面して木製のデッキのあるアメリカンレストラン。
バンズの種類だの、パテの焼き方だの、トッピングの増減だの。途中で面倒になった三成は全て吉継まかせに投げ出して、自分はコーラのグラスに添えられたレモンを手持ち無沙汰にストローの先で突いていた。
こんなふうにオーダーに手間がかかることも、注文を受けてからその通りに焼くのがこの店のやり方でだからすぐにはランチにありつけないということも、彼は知らない。
ウェイトレスが運んで来た別添えのレタスとトマト、それにスライスされたアボカドを食べる直前に自分で挟むのだということも。
一番上に重ねられたバンズを取って、ケチャップとマスタードを前衛絵画のキャンバスのごとくに振りかけ、様々のパーツを放り込み、それら全部をぎゅっと上下から押しつぶしてどうやら彼は覚悟を決めたらしい。
「いただきます!」
出来る限りに大きく口をあけて、がぶり、と齧りついてはみたものの、案の定反対側から押し出されたトマトやら滴る肉汁やらが溢れてぼたぼたと溢れて落ちてくる。
むきになってそれと格闘し続ける彼の姿を、吉継はオニオンリングを摘みながら飽きる事無く眺めていた。
「ほら、汚れている。」
絶え間なく咀嚼する顎についたケチャップを拭い取ってやろうと紙ナプキンを伸ばすとその手を取って三成は自分の口に運んだ。
「吉継のだって汚れてるぞ。」
ちゅ、と音を立ててその指先に吸い付いて、しょっぱいな、と首を傾げてみせる太陽みたいに無邪気な笑顔。
確かに、吉継は彼よりほんの少しだけ長く生きていて、ほんの少しだけ多くの事を知っている。
けれどそんなことにたいして意味は無いのだと、教えてくれたはこの年若い恋人。
日差しを増した窓の外に目をやって、さてこれから彼と二人、何処へ出かけようかと吉継は考えた。
クアア.イナとか
たっかいけど美味いよねぇ。滅多に行けませんが
現パロの大谷さんは身体だけはきわめて健康です
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