心はここに。
 ずっとずっと、貴方のそばに。

  

  

  

 

 北の庄が落ちたとき、燃える城から逃れて来た手をあの人が握ってくれたから。
 凍える指先を引いて導いてくれたから。
 あの時から、

 

 心はここに。
 ずっとずっと、貴方のそばに。

  

 

 

  

 侍女のひとりから大阪の城下で罪人の引き回しが行われると聞かされた淀は天守までの回廊を駆け上った。
 あまりに疾く駆けたため、錦の打ち掛けが足にもつれ、袖から抜けて蝶のように舞い上がった。
 侍女たちがそれを慌てて拾いあげ、追いかけてくる。
 彼女たちの叫び声も淀の耳には届かない。

 あの人はどこにいるのだろう。

 欄干に身を乗り出して城下を見渡す。
 しかしそこに広がるのは広大な城垣とその向こうに霞む街の姿だけで、行列を見つける事は叶わない。
 父も、母も、二人の弟達も。
 皆が私をおいて行く。
 そうして、今、あの人までもが。
 
 ああ、あの人は、どこに。
 
 初冬の冷たい木枯らしが頬を刺す。髪が吹き上げられかき乱される。
 その黒髪と共に狂女のような淀の心も舞い散った。

  

  

 

 

 明け渡した心は貴方が持って行ってしまいました。

 風に吹かれて飛んでいきました。

  

 

  

 

わたしのてはいまもつめたいあのときのまま

 

 

 
  

    


359に上げている「風花」の1059バージョンというか、大河設定で淀三!と言い切ってみる
淀はみったんのこと、本当に愛していたのですね
もしかしたら淀とは形は違うかも知れないけど、みったんも彼女が好きだったのかも知れない
でも家臣であるという立場上、彼の方がたくさん我慢をしていたのかも知れない
そしてそれに淀はきづいていたのかどうか
好きなのに、相手も自分を好きなのに、もしかしたら幸せになれたかもしれなかったのに
お互いに分かり敢え無かった二人に