『あわれ彼女は娼婦』

 

 

 

よくがんばられましたね。
 今、縄を解いて差し上げますから。
 2回も延長されて、前田の爺様はご満足でお帰りになりましたよ。

 

 もう、もう嫌だ。左近。もう無理だ。死んでしまう。

 

 そのように泣かないで。
 どうしたのです?
 何をされたのか教えてください。手当をいたしましょう。

 

 あのくそジジイ、加減を知らないもんだから好き勝手にがんじ絡めにしやがって。

 

 確かに擦り傷になってますね。貴方のことだから暴れたんでしょう。
 これはしばらくは跡が残るかもしれないな。

 

 全身舐め回して噛まれて。痛いって言ってるのに止めてくれなくて。
 喰いちぎられるかと思ったら怖くて、気持ち悪くて。
   

 胸のところ両方とも、皮膚が破れて肉が見えてますよ。
 消毒しておきましょうね。
 少し染みるかもしれませんが、我慢して。

 

 う...んっ。くぅっ..。
 

 随分おっきくなっちゃいましたね。赤くて、腫れて、女の子みたいだ。
 ここにピアスを開けさせてくれってお客様方がたくさんいらっしゃるんですけど、どうされます?

 

 そんなことしたらっ。元に戻らなくなったらっ..。

 

 はは、冗談ですよ。左近がそんなことさせるはずがない。
 でも、きっと、お似合いだと思うんですがね。
 ああ、ここも...酷い。これは?
   

 そこ...は..。

 

 黙ってちゃ分かりませんよ。裂けて中までボロボロだ。
 何か入れられたのなら洗浄しなくちゃなりませんから。
 ね、左近に言ってください。左近は貴方を少しでも助けたいのです。
 分かっていただけますね?

 

 ...腕、を。

 

 腕?

 

 腕を...中に突っ込まれて。
 痛くて痛くて、気を失いそうになって。吐き気もするし。
 あんまりめちゃくちゃに掻き回すから腹が破れるかと思って、今だってまだ血が止まらない。
 すごく怖かったんだ、左近。
 頼むからもうあんなことはさせないでくれ。
 酷い事はしないように言ってくれ。
  

 あの方ももうお年ですからね。
 ご自分のものでは楽しめないんですよ。
 腕がお気に召したようなら、もう少しここを拡げておかなければいけませんね。
 そんな顔をされないで...左近は貴方に怪我をさせたくないだけなんですから。
 で、こちらは?随分熱いですね。
   

 まだ、出してない...ずっと許してもらえなくて..辛いんだ。
 な、左近...。

 

 おねだりは次のお客様にしてください。
 きっとお喜びになる。

 

 次、って..。

 

 徳川様です。前田様が延長されたので随分お待ちかねですよ。

 

 嫌だ!やめてくれ!!あの狸じじいの相手は嫌だって言ったじゃないか!!

 

 聞き分けの無い事をおっしゃらないでください。
 あちらは貴方を大層お気に入りですよ。
 今日だってこうしてお帰りにならずに待ってくださっているんですから。
 少しはご自分の立場をわきまえたらどうです。

 

 でも...でも..きっと耐えられない。
 なあ左近、今日は許してくれ。
 身体が限界なんだ。
 関節がぎしぎし言ってる。
 頭が痛い。吐き気がする。
 後ろも...お前だって見ただろう。酷いって思っただろう?
 あのジジイが加減を知らない嗜虐趣味なのはお前だって知ってるだろう?
 これ以上したら本当に...壊れて、しまう。

  
 お可哀想に。
 どうか左近の非力をお許しください。
 しかし貴方ばかりが苦しいのではない。
 左近の気持ちをお考えになった事がありますか。
 貴方にこのようなことをさせて、左近が平気でいるとお思いか。
  
 
 分かってる。分かってるけど、もう、本当に。
  
 
 必ず貴方をここから救い出して差し上げる。
 ですからどうか、今はご辛抱を。左近を信じて。
  
 
 左近、お願いだから、今日だけだから。
 明日からまたしっかりやるから。
 助けて、頼む、左近。
 
  
 どうしても辛いなら、
  
 
 左近。
  
 
 お薬を差し上げましょう。
 
  
 左近!
 
  
 腕を出して。早く。
 
  
 いや...許して..。あっ..いっ..やぁ。
 
  
 すぐに効いてきます。そしたら楽になりますから。
  
 
 ..左近..本当に?
 本当に、いつかここから連れ出してくれる?
 
  
 ええ、もちろん。
 貴方がどのようになっても左近は愛しておりますよ。
 
 
 もう一度...お願いだ。
 
 
 愛しております、三成様。
 さ、お客様がお待ちだ。
 左近の腕に掴まって。なんだ、もう腰が立たないんですか。
 全く手間のかかる。
 仕方ないな、抱いて行って差し上げるが左近の服を汚さないでくださいよ。
 って、聞こえてないねこりゃ。
 せいぜいジジイどもに媚びて甘えて、存分に可愛がってもらうことだ。
 あんたのその顔と身体に値札のついてるうちにね。

  

   

 

 

 

  

高級娼館で娼夫として働く殿と管理な左近でお耽美、という設定でした。
左近が酷い男ブーム真っ最中の時。

 

 

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