土手に並ぶ赤い花。まるで俺を見送るような。 殿、これを海の向こうの国では相思華といいまして葉は花を、花は葉を互いに想いあって咲くのです。 その花言葉、「想うはあなた」。 この花の散った後、俺はお前に会えるのだろうか。
陣幕の端にひっそりと咲く花をその名故に不吉だとあの方は言ったけれど、紅く燃え上がるが如き様はその人自身を想わせた。 その花言葉、「悲しい思い出」。 この身にもはや季節が廻り来ることは無く、失った心に思い出は蘇らない。
お役人様が刀を振り下ろしたその途端に、ぱっ、と河原の白州に赤い花が咲いて、あたしはそれをいつか見たあの花だと思った。 その花言葉、「また会う日を」。 いつか渡る彼岸の地、またお会いする日を楽しみにしております、お父様。
殿、左近、初芽の順で。 |